2024夏のワンフェスで購入した、二郎工房さんの「呉爾羅」の組み立て。この大きさのガレキの制作ははじめてなので、今回はそのプロセスを、試行錯誤も含めて記載しておきます。
①パーツの確認
まず、はじめに行うのがパーツの確認。機械化された製造過程と幾重のチェック体制がある企業商品とは異なり、ガレージキットの多くはディーラーさんが当日間際に手作業で梱包してくださっているので、当然ながらパーツの不足や不備などもあるもの。ご迷惑をかけないためにも、早めにパーツの確認をする必要があります。(自分がなくしたのかもともと足りなかったのかが分からなくなるので、写真を撮っておくのもひとつかもしれません)
②パーツの洗浄
はじめてガレキを制作した際にした大きな失敗のひとつが、洗浄不足。軽く洗剤で洗っただけで組み立てはじめた結果、塗装をしたあとに表面をひっかくと、すぐにパリパリと塗装がはがれてしまったことが…トップコートをした後にその状態だったので、かなりショックだったのを覚えています。
ご存じの通り、キットの表面には型から外しやすくするために「離型剤」という脂分がしっかりとついています。当然、その上から塗装をしたところで、すぐにはがれてしまうので、塗装の前にしっかりと離型剤を落とさないといけません。
では、どうやって離型剤を落とすのかというと…今回はクレンザーを使用しました。クレンザーにはわずかな研磨剤が含まれています。この研磨剤が、表面をかるくやすってくれるので、塗料の定着にも貢献する…という理解なのですが合っていますかね?全体にクレンザーをかけ、固めの歯ブラシでゴシゴシこすりながら、細かい溝の内側も洗っていきます。
このあたりの作業は、いくらやってもキリがない感じがするのですが、ここで怠ると後から取り返しがつかないので、可能な限り念入りに行います。
③パーティングライン消し
次に、パーティングライン消しです。ガレキの場合、型の接合部にあとが残っていますので、それを消します。怪獣キットの場合は「モールド」として処理してもそこまで目立たないのですが、何より自分が気になるので、これも悔いのないように消していきます。
消すと言っても色々と方法はありますが、私の場合はやすりで削り、必要に応じてパテで補修していきます。怪獣のような複雑な肌だと、バリやパーティングラインなのか、造形としてのモールドなのかが分からない場合もあるので、化石発掘のような姿勢で慎重に「掘り出して」いきます。
また、細部はパテで調整していきます。場合によってはとげの先端が欠けているようなこともあるので、それはパテ(エポキシパテ)で造形します。右の写真はサフを吹いた後に発見したので、胴体に下地塗装がされています。
④軸打ち
さて、ガレージキット制作の次の難関「軸打ち」です。プラモと違って、レジンキャストは重く、パーツによっては非常に不安定。しっかりと固定しないと、組み立て後に外れて破損、なんてことも起こりかねません。そこで、軸打ちといって、真鍮線でパーツどうしを固定する過程が欠かせないのです。
工程に関しては多くの方が説明されていますので、ここでは多くは触れませんが、ピンバイスで穴をあけて、そこに真鍮線を差し込み、固定します。(上の動画)ただ、はじめのうちはこれに苦戦します…真鍮は垂直に差し込むのですが、それが少し曲がっていて入らない、穴の位置が少しずれていた…など試行錯誤でした。うまく入らない場合は穴を広げるなり真鍮線を曲げるなりしてはめ込みます。広がった穴はパテと瞬間接着剤で補強すれば大丈夫なので、これも経験ということで、大らかな気持ちで取り組むのが良さそうです。
➄下地塗装
軸打ちをすることで、接着しなくても仮組が可能。ただ、今回はパテでつなぎ目を消したこともあり、全体を組み上げてから塗装することにしました。
レジンキャストはもともと塗料の定着はあまりよくないので、少し値段ははりますが、ボークスから出ているGKサーフェイサーを下地に使用。これならレジンにもしっかりと食いつき、はがれも起こりません。
⑥塗装(ボディ)
さて、ようやく塗装の段階に入ります。と言っても「呉爾羅」のカラーリングは劇中の情報だけだと詳細不明なので、今年出版された資料「the art of GODZILLA−1.0」掲載の写真を参考に塗っていくことにしました。
腹の部分はライトブラウン、背の部分はダークグリーン、背びれはブラウンを吹き、塗り重ねながら色を抑えていきます。脚は、全体にウェザリングカラーを流した後、ティッシュでふき取っていきます。
こうして塗り重ねたのが下の写真です。右の写真の方が、多少ディティールアップしているかと思いますがどうでしょう。
⑦塗装(瞳)
ボディの塗装が終わったら、瞳の塗装です。以下の写真は失敗例。それぞれ、眼球の真ん中に黒目を置いたのですが、正面から見ると、ちょっと間抜けな感じになります。
瞳は、あくまで「正面」を向くように置くのが正解でした。
⑧塗装(口内)
体全体はつや消しで塗装するのですが、口内と爪はあくまで光沢感を出します。レジンでコーティングするのもひとつだと思いますが、シンプルにクリアを筆塗りで。
⑨塗装(仕上げ)
仕上げはつや消しのトップコートを全体に吹いて完成です。数日前に到着した東宝30㎝シリーズのマイゴジと並べると、スケールはともかく色は統一感があります。
完成!これだけのサイズのガレキを仕上げるのははじめてだったので、色々と困難はありましたが、その試行錯誤も楽しみの一つでした。